2013/10/09 (Wed) 19:40
“唐松”
敷地は札幌市近郊の緑豊かな住宅街に位置します。道路を隔て向かいの敷地は樹木が連続する敷地が存在します。そこには自然以外の存在がありません。夏は植物の緑でいっぱいになり冬は植物が落葉し遠くの樹木と手前の樹木の動きの違いを楽しむ事ができます。その樹木の中で一際目を引く樹木が1本あります。唐松です。直径300mm高さ20m程ある大木は、唐松独特の樹皮が樹齢を重ね一つ一つの樹皮が大きく生々しい力を秘めています。この樹皮が力を放つ瞬間は、雨の時です。雨を葉に受け葉・・枝・・幹と徐々に幹に雨が伝わります。雨が降り始めてから1時間程経つと、乾燥した幹の樹皮が徐々に雨で赤黒く湿って行きます。幹の樹皮が乾燥から湿潤へ表情を変える瞬間が最も美しい瞬間です。樹皮の変化を最も肌で感じる事が出来る位置に2階床レベルを配置し、その場所に家族の活動拠点を配置しました。建築はピクチャーウィンドウ「唐松」を中心に空間構成を構築しました。敷地は前面道路より600mm程高く道路からのアプローチは緩やかにスロープで高低差を無意識に上ります。エントランスに入ります。エントランスの光は最小限に押えられ洞窟にいる様な感覚を与え、階段を600mm降ります。暗いエントランスから長い廊下先のラウンジを眺めると、光の溜まりがあり、その原因が何かは直接伺う事が出来ません。そして、エントランスホールにある階段から2階へ移動します。階段からラウンジ方向と2階方向を眺めると、階段手摺の線、2階天井に設けられた線を感じながら階段を登るとその先には美しい「唐松」が存在します。
家族と過ごす時
子供と遊ぶ時
歯を磨く時
食事をする時
料理をする時
読書する時
「唐松」が心に癒しを与え日常生活を豊かにしてくれる事を期待して計画をしました。
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